【角番でも受かる】一級建築士 製図試験に3年目で合格した勉強法
一級建築士の製図試験で3回目、いわゆる角番を迎えると、プレッシャーは想像以上のものになります。ここで落ちれば、また学科試験からやり直しです。その事実が頭から離れず、手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
私自身、1年目と2年目は「何がなんだか」という状態のまま試験を終えました。予備校を渡り歩き、3年間で100万円ほどを投じています。
- 後がないという重圧
- やり方が定まらない不安
- 費用を重ねてきた焦り

3回目…落ちたら学科からやり直しなんて考えたくない…

大丈夫です。やることを絞れば間に合います。私も角番で合格しました。
転機は3年目でした。予備校を変えたことで自分に合うエスキスのやり方に出会い、そこからやることを絞り込んだ結果、令和5年の試験で合格できています。特別な才能があったわけではありません。この記事では、角番だった私が最後の1年で何を変えたのかを、エスキスの練習法からミスリストの作り方まで具体的にお伝えします。
角番で挑む製図試験の現実
角番という言葉には、独特の重さがあります。後がないという状況は、実力そのものより先に精神を削ってきます。まずは自分が置かれている状況を正確に把握するところから始めましょう。ここでは角番の意味と、私が1年目と2年目に何を間違えたのかを整理します。
角番の意味と受験回数の制限
角番とは、製図試験を受けられる最後の回を指す呼び方です。
学科試験に合格すると、その年を含めた5年間に3回、学科免除で製図試験に挑戦できます。その最後の1回が角番です。ここで不合格になれば、次は学科試験からのやり直しになります。
- 1回目は勝手がわからない状態
- 2回目は中途半端な慣れが生じる時期
- 3回目は後がない角番
制度の詳細は年度によって変わるため、必ず公式の受験案内で確認してください。ただどの回であっても、やるべきことの本質は変わりません。
1年目と2年目に失敗した理由
振り返ると、最初の2年でつまずいたのは、どちらもエスキスでした。
1年目は、そもそもエスキスのやり方が分かっていませんでした。課題をこなすことが目的になり、自分が何をできるようになったのかを説明できない状態が続きます。
2年目は、学校のやり方が自分に合いませんでした。手順に納得できないまま進めることになり、結局ネットで別のやり方を探し続けていました。
- 1年目はエスキスの型がない状態
- 2年目は学校の手順との不一致
- 空いた時間はやり方探しに消費
原因ははっきりしています。自分に合うエスキスの型を持たないまま、やり方だけを探し回っていたからです。探している間は、どの方法も中途半端にしか身につきません。
何がなんだかの状態からの脱却
状況が変わったのは、3年目に自分に合うエスキスのやり方に出会えてからです。
納得できる手順が1つ手に入ると、他を探す必要がなくなります。3年目に決めたのは、その学習法だけを信じて反復するという方針でした。新しい教材に手を出さず、同じ手順を繰り返すことに徹しています。
- 教材を1つに絞る
- 同じ手順を毎回再現する
- 新しい方法を探さない
遠回りに見えるかもしれません。しかし製図試験でやることは、突き詰めればとてもシンプルです。ここに気づけたことが、合格につながりました。
3年間で使った予備校と費用
お金の話は生々しいので、正直に書きます。私は3年間で予備校費用としておよそ100万円を使いました。3年で3つの予備校を渡り歩いた結果です。決して余裕があったわけではありません。同じ思いをする方が減るよう、何にいくらかけて、何が有効だったのかを包み隠さずお伝えします。
TACへの通学で得たもの
1年目に選んだのは、大手予備校のTACへの通学です。
通学の価値は、強制力と情報量にあります。決まった日時に教室へ行けば課題に取り組めますし、周囲の受験生の図面を見て自分の立ち位置を知ることもできました。
- 決まった日時による強制力
- 周囲との比較でわかる立ち位置
- その場で質問できる環境
一方で、通学は移動時間という見えないコストを伴います。仕事と両立する前提では、この負担が想像以上に重くのしかかりました。
授業についていくことで精一杯になり、自分の弱点を潰す時間を確保できなかったのが1年目の実感です。
オンライン講座への切り替え
2年目は製図試験.comというオンライン講座に切り替えました。
移動時間がゼロになった点は大きな改善でした。自分のペースで進められるため、仕事の繁忙期にも学習を止めずに済みます。
- 移動時間の削減
- 自分のペースでの反復
ただし2年目も不合格でした。切り替えの判断そのものは間違っていません。問題は、そのやり方が自分に合っているかを見極めきれなかったことです。続け方も定まらないまま、1年が終わりました。
3年目に選んだ山本塾
3年目に選んだのが、オンラインの山本塾でした。
決め手は講師の経歴です。大手資格学校で一級建築士の製図講師を20年務めた方が指導にあたっており、独学界隈で知られるビリケツくんの恩師でもあります。製図試験は誰に教わるかで到達点が大きく変わります。2年目の経験から、オンラインで完結することも必須条件にしていました。
- 製図講師歴20年という指導実績
- 移動時間ゼロのオンライン完結
- 自宅環境のままの本番慣れ
私が合格した令和5年当時、合格率は45%と案内されていました。製図試験全体が30%台であることを考えると高い数字ですが、受講者の母集団によって意味は変わるため鵜呑みにはできません。
それでも実感として、最後の模擬試験と本試験の内容が驚くほど近く、ほぼ模擬試験どおりの図面を描けました。
ただし講座選びは相性が大きく、ここで挙げたのはあくまで私の場合です。最新の情報はご自身で確認したうえで判断してください。
総額100万円の内訳と反省
3年間の総額は、およそ100万円になりました。
内訳は3校ともおよそ30万円前後で、そこに教材費が乗った形です。決して裕福な状況ではなく、この費用は生活を圧迫しました。
3校を渡り歩いたこと自体は、私にとって無駄ではありませんでした。3年目に移ったことが、そのまま合格につながっています。
- やり方と自分の相性が最優先
- 最後まで続けられる形かどうか
- 合わないと感じたときの乗り換え
お伝えしたいのは、お金をかければ受かる試験ではないということです。1年目に自分に合う方法を見極められていれば、費用は3分の1で済んだはずだと今でも思います。
合格を決めたエスキス練習法
3年目に取り組んだ練習法は、拍子抜けするほど単純です。模範解答をなぞる。それを繰り返すだけです。自分でゼロから考える時間を思い切って削り、正解の型を体に入れることに集中しました。ここでは具体的な手順と、本番でどう効いたのかをお伝えします。
模範解答をトレースする手順
手順は3ステップだけです。
まず問題文を読みます。次に模範解答の図面を見ながら、その解答にたどり着くようエスキスをトレースします。エスキスはそれぞれご自身に合ったもので構いません。最後に1/400で図面化し、色を塗って仕上げます。
- 問題文の読み取り
- 模範解答を見ながらのエスキストレース
- 1/400での図面化と色塗り
ポイントは自力で考えようとしないことです。正解を先に見てしまうことに抵抗があるかもしれませんが、判断の型が身についていない段階では、悩む時間はほとんど無駄になります。
私が使っていたのは、山本塾の講座に含まれる課題と模範解答です。製図の講座であれば課題と解答例はセットになっているため、受講中の教材がそのまま練習材料になります。
1/400と色塗りの反復
この3ステップを、とにかく繰り返しました。
回数を重ねると、問題文のどの記述がプランのどの判断につながるのかが、考える前に見えてくるようになります。判断の軸が育つという表現がしっくりきます。
- 問題文と判断の対応の把握
- 色塗りによるゾーニング確認
- 同一課題の反復による定着
色塗りを省略しなかったのも意識した点です。ゾーニングの良し悪しは、色を塗ると一目でわかります。自分の判断が正しかったかを、目で確認できる状態を作りました。
量としては、5月から7月にかけて種類の違う課題を18課題解き、課題発表後の後半戦で条件を変えた18パターンを1.5周ほどトレースしました。
課題数を追いかける必要はありません。新しい課題を1回解くより、一度やった課題をもう一度なぞるほうが定着します。
本番でエスキス45分の再現
この反復の成果は、本番の時間として表れました。
実際の本番エスキスです↓

令和5年の試験では、エスキスが45分で終わっています。チェックまで含めても、経過時間は51分でした。1年目には2時間以上かかっていた工程です。
- エスキス完了まで45分
- チェック込みで51分
- 作図に十分な時間を確保
時間が余ったことで、見直しに手が回りました。エスキスの速さは、そのまま見直し時間の余裕に変換されます。ここが合否を分ける部分だと実感しています。
ミスリストという最強の武器
エスキスと並んで効果があったのが、ミスリストです。正式には作図の抜けもれチェックリストと呼んでいたもので、本番にも持参しました。作るのに時間はかかりません。それでいて、致命的なミスを確実に減らしてくれます。作り方と使い方を具体的に説明します。
問題文だけが本番の味方
本番で頼れるのは、目の前の問題用紙だけです。
講師も参考書も、試験会場には持ち込めません。逆に言えば、問題文に書いてあることをすべて図面に再現できれば、それで合格ラインに届きます。
だからこそ問題文の要求を1つも落とさない仕組みが必要になります。記憶力に頼るのではなく、確認する手順そのものを用意しておくという発想です。
抜けもれチェックリストの作り方
作り方は簡単で、練習中の自分のミスを記録していくだけです。
課題を解くたびに、問題文へマーキングとコメントを書き込みます。そして描き漏らした項目を1行ずつリストに追加していきます。これを続けると、自分の癖がはっきり見えてきます。
- 問題文へのマーキング
- 描き漏らした項目の記録
- 繰り返すミスの抽出
人によってミスの傾向はまったく違います。市販のチェックリストより、自分専用のリストのほうが確実に効きます。
実際のミスリストです↓(山本塾に転載許可いただいております。)

お守りとして本番に持参
完成したリストは、本番にも持って行きました。
試験中に何度も見返すわけではありません。ただ手元にあるだけで、抜けへの不安が減り、目の前の作業に集中できます。心理的な支えとしての効果が大きいものでした。
- 致命的な抜けの防止
- 自分の癖の可視化
- 本番での精神的な支え
角番の年は、緊張が実力を大きく削ります。不安を仕組みで打ち消しておくことが、本番のパフォーマンスを守ります。
角番生が今すぐやるべきこと
ここまでの内容を、角番の方向けに行動として整理します。残された時間で成果を出すには、やらないことを決めるのが先です。手を広げるほど不安は増え、結果は遠のきます。最後の1年で私が実際にやったことを、3点にまとめました。
やることをシンプルに絞る
最初に決めるべきは、何をやらないかです。
ただし今のやり方が自分に合っていないと感じるなら、変えるのは早いほうがいいと思います。私自身、角番の年に予備校を変えたことで、ようやく自分に合うエスキスに出会えました。
大事なのは順番です。やり方を決めるのは年の初めまで。決めたあとは、もう探さない。2年目の私は合わない手順を続けながらネットで別のやり方を探していて、どちらも身につきませんでした。
- 年の初めにやり方を決める
- 決めた後は教材を増やさない
- 探す時間を反復に回す
不安だから手を広げるのは、逆効果になります。やることを減らすほど、1つあたりの精度は上がります。
模擬試験を本番と同じ条件で
模擬試験は、必ず本番と同じ条件で受けてください。
時間を計り、途中で中断せず、道具の配置も本番どおりにします。私の場合、最後の模擬試験と本試験の内容が非常に近く、模擬試験どおりの図面を描けたことが合格につながりました。
- 時間の計測
- 中断なしの通し
- 道具配置の再現
模擬試験を実力を測る場ではなく、本番を再現する場として使うと、得られるものが変わります。点数に一喜一憂する必要はありません。
受け終わったら、時間の遅れとミスをリストに反映させましょう。ここまでやって1セットです。
精神面の整え方
角番の一番の敵は、実力不足ではなく不安です。
落ちたらどうしようという思考は、練習中の集中力まで奪っていきます。私も1年目と2年目は、この状態から抜け出せませんでした。
- やることの一本化
- ミスリストによる可視化
- 本番同条件での模擬試験
いずれも精神論ではなく仕組みです。不安は根性ではなく、準備の具体性で消えていきます。
角番の製図試験でよくある質問
最後に、角番の受験生から特に多く寄せられる疑問をまとめました。予備校の選び直しから練習量の目安まで、角番の年に迷いやすい部分を中心に答えています。
角番でも合格できる?
できます。私自身が3年目の角番で合格しました。2年分の蓄積がある分、やることを正しく絞れば1年目より有利です。焦って手を広げないことが最大のポイントになります。
予備校は変えたほうがいい?
合わないと感じているなら、変えて構いません。私は3つの予備校を経験し、3年目に変えたことが合格につながりました。ただし変えれば受かるわけではありません。そのやり方が自分に合っているか、最後まで続けられるか。この2点が分かれ目です。
エスキスは何分を目標にすべき?
本番で45分から1時間を目標にすると、作図と見直しに十分な時間を回せます。私は模範解答のトレースを繰り返した結果、本番で45分まで短縮できました。最初から速くある必要はありません。
ミスリストは何項目くらい必要?
項目数に決まりはありません。大切なのは自分が実際に繰り返したミスだけを載せることです。他人のリストを写しても効果は薄く、練習中の記録から育てたものが本番で効いてきます。
独学でも角番を突破できる?
可能ですが、添削の機会は何らかの形で確保することをおすすめします。角番は失敗できない年です。自分の図面のずれに気づけないまま進むリスクは、できるだけ減らしておきたいところです。
まとめ
角番の1年で私が変えたのは、勉強量ではなく方針でした。
出発点は、自分に合うエスキスのやり方に出会えたことです。そこからやることを1つに絞り、模範解答のトレースをひたすら反復し、自分専用のミスリストを育てました。この3つに集中したことで、令和5年の試験で合格できています。3年間で100万円を使った末にたどり着いた結論です。
- 角番は後がない最後の1回
- 合わない予備校は乗り換える
- 模範解答のトレースが最短ルート
- エスキスは本番45分まで短縮可能
- ミスリストは自分専用で作る
- 模擬試験は本番と同条件で実施
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- 作図4時間を3時間ちょっとに短縮
今この記事を読んでいる角番の方へ。大丈夫です。やることを絞れば、残された時間でも十分に間に合います。

